手の指の関節が痛んだり、変形したりして不安を抱えている方は多いのではないでしょうか?
「病気ではないのか?」「なぜこんな症状が出るのか?」「どうすればよくなるのか?」と心配ですよね。

この様な場合にどんな疾患が考えられるかということについてまとめてみました。
手の指の関節が変形して痛い
手指の痛みや関節の変形で考えられる疾患は様々なものがあり、患部がどこなのかということなどで疾患が異なります。
また見た目だけでは判断しづらいものもあり、最終的な判断は整形外科などで診察することで判明しますが、以下にその症状と原因を挙げていきます。
ヘバーデン結節という病気かもしれない
特に、第一関節が変形して痛む症状は、ヘバーデン結節という病気の可能性があります。

原因に関しては明確になっていません。
エストロゲンという卵胞ホルモンが深く関係しているという見解もあります。
閉経して急にエストロゲンが減少することで起こりやすくなり、更年期の女性に多い疾患です。
しかし、女性だけがなるものではなく男性でも発症することから、ホルモンバランスだけが原因ということでもなさそうです。
他の原因としては指の使い過ぎや加齢などが考えられるということです。
残念ながら、これといった治療法もないらしく、あまり痛むようなら痛み止めが処方されるようですが、対処法は医師に相談してみるとよいでしょう。

無理をしない事が一番のようです。
しかし、毎日家事をしている主婦にとっては、難しいことかもしれませんね。
ずいぶん痛むこともありますが、徐々に落ち着いてくるようです。ただ、一度変形した指は元にはもどりませんので、つらいところです。
へバーデン結節の治療・改善方法
症状の進行を抑えるためには局所を安静に保つ必要があり、テーピングで固定したり、投薬を行ったりします。

肩がこるよー急性期には少量の関節内ステロイド注射などが効果的です。
予防方法として
第一関節が痛む時はできるだけ安静にすることが有効ですが、痛くてもどうしても使わなければならない時はテーピングをして、指先への過度な負担を緩和します。
外科手術
関節固定術
指の関節の周囲にできる骨棘を削り指先の2つの骨(末節骨と中節骨)に穴をあけてワイヤーを通して関節を固定します。
この方法は第一関節が固定され動かなくなりますが、痛みは取れますし、見た目も良くなります。
生活上の不自由さも殆どありません。
関節の形成手術
関節の1部や骨棘を削り変形した骨を切除して形を整る手術です。
見た目がきれいになり、昨日もある程度回復します。
人工関節置換術
骨棘ができた部分や損傷した部分を人工関節に置き換えます。
術後の状態
人工関節置換術
指の人工関節の開発はまだ十分とは言えないということがあり、術後も完治しない場合があります。
関節固定術
指の第1関節が動かなくるため、指の可動範囲が限定されます。
しかし、生活に大きな支障が出る事はありません。
手術後に
ある指を手術した後に他の指がヘバーデン結節になることがあります。
こういった場合は生活環境そのものを改善する必要がありそうです。
他の病気の可能性も
その他にも腱鞘炎やプシャール結節、関節性リウマチなどの症状が考えられます。
こういった症状についてもその症状の現れ方や原因、どういった治療法があるかについて見ていきましょう。
腱鞘炎(けんしょうえん)
指の付け根の屈筋腱と靭帯性腱鞘の間での炎症が起き、指の付け根に痛みや腫れや熱を持ちます。
腱鞘炎になるのは指の使い過ぎと言われることが多いですが、更年期障害や妊娠出産期などでホルモンバランスが崩れているときには生じやすく、またリウマチや糖尿病などで免疫力が落ちても生じやすいと言われています。

指の腱鞘炎になるとばね指という症状が生じる事があります。
これは指を曲げると指が伸びずに曲がったままになったり、伸ばそうとするとバネのように急に伸びるという症状です。
この症状がさらに進行した場合、もう一方の手で指を伸ばそうとしないと伸びなかったり、無理の伸ばそうとすると痛みを伴うようになります。
腱鞘炎・ばね指の治療
まず手や指をできるだけ使わない様に安静にして、痛い指を使わない様にする為に添え木や装具を着けることもあります。
スポーツやその他の趣味が原因の可能性が高い場合はしばらく中止します。
薬物療法
痛みの緩和や炎症を和らげるために軟膏を使用したり、シップを貼ります。
また痛みが中々和らぐことがない場合はステロイド剤を局部に注射することで軽快する事があります。
ステロイドは強い薬なので、あまり数を重ねて使用できないため、場合によっては手術することもあります。
理学療法
腱鞘炎の症状が急性期を過ぎてから消炎鎮痛させるためにレーザー治療や低周波のマイクロウェーブを当てての治療を行う事があります。
プシャール結節
ヘバーデン結節とは異なり、指の第1関節ではなく、第2関節が腫れたり、骨が変形するなどの症状がでます。この疾患についても原因は判明していません。
プシャール結節になると手が強張る・浮腫・グーパーがやりづらいなどの症状が出ます。また第2関節が痛くて曲げられなくなると、日常生活に大きな支障が出ますから、早めの対処が大切です。

進行性の疾患なので、一度変形した関節を元に戻すことは困難です。
こういった症状が顕著な場合は整形外科の専門医に診てもらった方が良いでしょう。
関節リウマチ
人の身体には細菌やウイルスなどから身を守る免疫というシステムが備わっていることは皆さんもご存知だと思います。
このシステムが異常を起こして本来は関節を守るための体内の組織や骨・軟骨を外敵と識別して攻撃してしまうのがリウマチと言われるものです。

リウマチは自己免疫疾患と呼ばれるものです。
もともと体質的にかかりやすい人もいる一方で、ストレスや睡眠不足、過労、喫煙、出産、怪我などがきっかけで発症する事があります。
また細菌やウイルスの感染が原因で発症することもあります。
発症しやすいのは女性が多く、30~50代が最も多いです。
リウマチはゆっくりと進行するもので急激に悪化することはないようです。

リウマチの初期には身体のだるさや、熱っぽい、食欲の低下といった症状が続きます。
やがて左右対称に関節が腫れたり痛みが生じます。これは指などの関節から始まり、最終的には全身に広がっていきます。
朝起きた時の手指のこわばりがあるなら関節リウマチかも
朝起きた時に手指のこわばりがあり、それが1時間ほど続くようだと、関節リウマチの可能性が高いです。
この症状は関節リウマチの典型的な症状と言われるものだからです。
第二関節が腫れて痛い
関節リウマチのもうひとつの特徴は、第二関節の腫れと痛みです。

第二関節の痛みや変形になる症状としては前述したプシャール結節の可能性もあります。
その見分け方は素人目では分かりませんから一度整形外科を受診してみる事をおすすめします。
プシャール結節ではない場合、リウマチの可能性が高い場合はリウマチ専門外科にかかることが望ましいです。

もし第二関節の腫れや痛みがなく、他の関節が痛んだり変形しているときも、受診して検査を受けた方がいいです。
もしかしたら、別の膠原病の可能性も考えられるからです。血液検査やMRIの検査でリウマチの可能性が小さいようであれば、少し不安が解消されます。
でも、リウマチ因子が陰性であっても100パーセント大丈夫と言えないので、定期的に様子を診てくれる場合もあります。
治療すれば治るのかどうか不安ですが、今は良く効く治療薬があるので、早期治療をすれば、日常生活に支障がない程度にまで持っていけるようですから、思い切って受診してみた方がいいでしょう。
リウマチと診断されるとショックかもしれませんが、手遅れになって苦しむより、早期発見・早期治療で、病気とうまく付き合っていく方がどんなにかいいでしょう。
リウマチの治療について
リウマチの治療には発症者の症状に合わせて数種類の剤薬を組み合わせて使用します。
関節リウマチに使われる薬は大きく分けると3つに大別されます。
まず最初の抗リウマチ薬で関節リウマチの炎症を抑える効果があります。
抗リウマチ薬だけでは腫れや痛みが引かない場合は、非ステロイド性消炎薬で痛みを抑える方法が取られます。
また、長い治療期間中に起きることが予想される強い炎症のピーク時にはステロイド薬を一時的に用いるのが原則です。
関節リウマチは進行の度合いに個人差があり、状態が異なるため、患者の様子を見ながら最適な薬で治療していきます。
関節リウマチのリハビリテーション療法
薬物療法では腫れや炎症などの症状を抑えることが出来ますが、薬物療法だけで関節を使わなくなると関節が固くなり強張ってしまうことがあります。
リハビリテーション療法は薬物療法のようにすぐに効果が現れるものではありませんが、関節が固くこわばることを防ぎ、病気の進行を抑える療法ですから、気長に続ける事が大事です。

リハビリテーション療法は調子が良いときも悪いときも続けて行う事で効果が現れます。
ただ無理は禁物ですので、腫れや痛みが強く現れている時は運動量を控えめにしたりして調整します。
関節リウマチの外科療法
薬物療法やリハビリテーション療法を行っても痛みが緩和されなかったり、関節の障害のために日常生活にどうしても支障がある場合などには外科手術を行って症状の改善を図ります。
この手術に関しても専門の医師が行い、適切に処置を行います。
違和感を感じたらすぐ病院へ
どんな病気も素人判断が一番怖いと思います。
病院へ出かけるのはなかなか気が進まないかもしれませんが、受診して心配するような病気でなければ安心できますし、もし重大な病気がかくれていたら、それは早く発見できて幸運というものです。
気になるときには、ぜひ病院へ行ってみましょうね!