膝に水が溜まったら、多くの場合はその水を抜いてもらうという治療が行われます。

しかし、一方で「膝の水を抜くと癖になる」という言葉もよく耳にしますね。
そのような中で、「膝の水は抜いた方がいいの?抜かない方がいいの?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では意外と知られていない、膝に水が溜まる原因と治療法、自分でできる対処法を解説していきたいと思います!
膝に水が溜まるメカニズム

一般に膝といわれる部分は、大腿骨・脛骨・膝蓋骨という骨から形成される関節を指します。
関節の内部は関節包と呼ばれる空間になっており、そこには半月板と呼ばれる軟骨のクッションがある他、滑液と呼ばれる液体が満たされています。
これは、関節の動きを滑らかにしたり、衝撃を吸収する役割を担っています。

そして、この滑液が膝に溜まる水の正体です。
通常は、滑液の量は一定に保たれていますが、関節内で何らかの炎症が起きると滑液はより多く分泌されてしまいます。
なぜなら、滑液は、潤滑剤としての役割の他、膝に栄養を運ぶ役割もしているからです。
膝に起きた炎症を抑えるために、より多くの養分を供給しようと、滑液が多量に関節内に分泌されます。

これが、膝に水が溜まるメカニズムで、専門用語では関節水腫と言います。
関節水腫を引き起こす原因は?

さて、ここで関節水腫を引き起こすその原因について見ていきましょう。
前章でも触れたように、膝に水が溜まる原因は関節内の炎症と考えられます。
では、その炎症にはどのようなものがあるのでしょうか?
大まかに以下のようなものが挙げられます!
変形性膝関節症
これは、骨同士の摩擦により軟骨がすり減って引き起こされる症状です。
半月板損傷
激しい衝撃などにより、関節内部の半月板が割れてしまう症状です。
膝靭帯損傷
関節を支えている靭帯に負荷がかかり、炎症を引き起こします。
膝の捻挫とも言えます。
関節ネズミ
軟骨が欠けて、それが関節内に浮遊することで痛みが出る症状です。
関節リウマチ
本来、外部から侵入した細菌を攻撃するはずの免疫細胞が自分の細胞を攻撃してしまうことで痛みを生じます。
痛風
尿酸という、プリン体が分解されると生成される物質が、ナトリウムと結びつき結晶化され、関節内に沈着してしまう症状です。

その他、これ以外にも様々な原因が考えられますが、ここで大切なのは水が溜まる原因は人によって異なるということです。
それぞれに適した治療法が必要だと考えられますので、症状を放置したり、思いこまないように注意しましょう。
膝の水を抜くと癖になる!?

以上、見てきたように膝の水はそれ自体が悪いものではありません。
様々な原因により炎症が起こった際に、それを治そうとして分泌量が増加するのです。
そのため、「再度水を抜く」というように繰り返されることになります。

癖になるということは、水を抜く治療が根本的な解決になり得ないことを示していると考えられます。
膝の水は抜かない方がいい?

では、膝の水は抜かないほうが良いのでしょうか?
なぜなら、前述のようにそれは根本的な治療にはならないからです。

ただ、痛みがつらい場合や膝が曲がらないほど水が溜まってしまった場合は、一旦水を抜くことで、その症状が緩和されることもあります。
ですから、きちんと水が溜まる原因を知り、そのための治療を行いながら必要に応じて水を抜く、というような形で主治医と相談し、双方の合意のもと治療を進めていく必要があるのではないでしょうか!
水が溜まった時の治療法

治療法は、その原因によって異なってきます。


場合によっては手術が必要な場合もありますので、自分で判断せずにきちんと病院で診てもらうことをおすすめします。
自分でできる対処法

膝に水が溜まってしまった時、自分でどのような対処ができるでしょうか。
安静にする
まずは、無理に動かさず安静にして様子を観ることが第一です!
冷やす
膝に熱を持った感じがある場合は、氷や水などで患部を冷やす(アイシング)のもよいでしょう。

但し、冷やし過ぎないように気をつけましょう。
温める
膝関節まわりの筋肉を温めることで、血行が良くなり筋肉の緊張が緩みます。
これにより、膝の痛みが緩和されることがあります。

入浴や温シップなどを上手に取り入れることも効果的です。
サポーター
関節を安定させ、負荷を減らすためにサポーターを使うこともおすすめです。
この際、使用感をチェックして自分に適したサポーターを選ぶことが大切です。
生活習慣の見直し
その他、膝に水が溜まる前に、日頃から生活習慣を気をつけることも大切です!

例えば、体重の増加は膝に多いな負担がかかります。
適度な体重を保てるよう、食生活にも気をつけましょう。

また、年々筋力が減少する中で日々の運動習慣を持ち筋力維持をすることも重要です。
筋肉は毎日の姿勢でつくられていきます。
そのため、普段の姿勢の悪さは、日々関節に負荷をかけ続けているのです。

「姿勢を整える」、この単純な習慣も膝を守るために大きな効果を発揮します。
まとめ

以上、膝に水が溜まる原因とその対処法を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
膝に水が溜まった際、ただ水を抜くのではなく、あなたに適した対処法を選択できるよう、ぜひ参考にしてみてください。

そして、あなたの膝を守るためにも、日頃から関節に負担を掛けすぎない暮らしを心掛けることも大切と言えますね!